派遣業の営業職スキルアップ支援
～神は細部に宿る～

企業の窓口役担当者との面談でオーダーを頂き、内容を確認していく際に気を付けるべき点ですが、どういう人物を必要としているかということにヒアリングが偏っていってしまうという落とし穴があります。これはベテラン営業でも比較的陥りやすいミスなので、もう一度確認は必要です。

 これは企業担当者との面談で相手に一方的に話してもらい、それを単に聞き取っていくというやり方をしている場合に良く起こる現象です。

具体的には、企業の担当者が、特に派遣社員を使い慣れていない場合に多いのですが、こんな派遣社員が欲しい、こういう人が来てくれたら助かるという説明をよくされます。これ自体は問題ありませんが、このまま相手の話を聞いていくと、単に希望の人物像を確認する作業となってしまいます。派遣会社が組織的に派遣社員の候補を探す場合や、実際にゴーディネイトを担当する人間が仕事内容を説明する場面において必要な情報が乏しくピントがずれた仕事紹介になってしまいます。

例えば、頭が良く機転の効く人、作業が早く正確な人、一度に二つの事が同時にこなせる人、業界経験を活かして色々な提案が出来る人、吸収力と向上心のある人、素直で礼儀正しい人等々です。付随事項として伺う分には何を求めているかを掴むうえで非常に有効です。

しかし時間には限りがありますから注意していないと、この手の話だけで１時間位、直ぐに経過してしまいます。そして「では、お願いしますね」といって席を立たれヒアリング終了になってしまうことがあります。かなりの情報量を聞き取っていたとしても、あくまで付随する情報ですから、登録者に紹介できる情報は殆どありません。本来は難しいニーズではないかもしれない受注が契約に至らない又は、実際に派遣に至ってもミスマッチの原因となり、後に大きな作業量を伴うことになってしまいます。

 では、どの様に聞き取っていくのか説明します。まず、基本的には主導権は、派遣会社の営業が持つようにします。相手の方の年齢や役職がかなり高い場合でも最初に「まずは、派遣社員の候補を当たっていく上で何点かこちらからお伺いさせていただく点がございますので、先にその点をお伺いさせて頂いても宜しいですか？」と切り出します。こうすることで主導権を持たせてもらうことが出来ます。重要点として、時間、公休日などの必須項目のヒアリングが終わり（又は、業務内容を先にヒアリングするケースもあります）、仕事内容のヒアリングになった時ですが、どんな仕事ですか？と聞くのではなく、常に頭の中では

「御社はどんな会社で」

「その中の何を行う部署で」

「実際にどの部分を担当するか」

「そのためにどんなスキルが必要で、どんなスキルがあるとより歓迎されるか」

を押さえるための質問であるという認識が必要です。これは機械的に質問していっても構いませんし、会話の中で自分なりに頭で整理しながらポイントを押さえていくやり方でも構いません。稀に役員クラスの方や、総務部の窓口担当者であって、就業現場の事を良く分かっていない方が説明にいらっしゃいますが、この場合出来るだけ現場の部署長又は直接の指揮命令者を呼んでいただき実際の業務内容を詳しく聞いてみることにトライしてください。小さな一つの依頼でも、契約成立に向けで他社よりも大きく一歩リードすることが出来ます。 

このようにして常に「どんな会社」の「どんな部署」で「どんな業務を担当するか」そのため「何が必須スキルで」「なにが尚可スキルか」を聞き取ることを念頭においてオーダーを詰めていって下さい。

 慣れてくると２分の立ち話でも、矢継ぎ早に質問出来て、正確にオーダーを刈り取る事が出来るようになります。このスキルを身に付けると、多くの企業の様々な部署に営業に行ってもミスなく安定的に質の高い営業活動が可能になります。つまりこれを全ての営業担当者が出来るようになると会社の生産性が大きく向上するということです。