派遣業の営業職スキルアップ支援
～神は細部に宿る～

就業開始後２週間から1か月という時期は、まだ仕事を覚えることに集中できていない時期であるということを理解しておいてください。理由は大きく2つです。一つは職場環境に慣れることが必要であること。これは、朝の通勤から始まり、職場についてからの振る舞い方、建物施設などへの適応の仕方、仕事（作業）場所の問題、騒音、静寂、休憩の取り方、トイレの使い方、会社ごとの作法等、全てのことが初めてですから毎日新しいことを教えられ経験しながら順応していきます。

もう一つは、職場の人間関係です。これば言わずとしれたことですが、年齢、性別、キャリア、価値観、性格などすべてのものが複雑に関係しながら形成されている組織に飛び込むことになりますから、多くの派遣先を渡り歩いてきたベテラン派遣社員でも一番気を使い消耗する部分です。そしてこの大きな２つのことに、ほぼ慣れ始めてくるのが派遣開始後２週間から1か月が経過した頃ということになります。つまりこの期間については、通常よりも幾分低下した吸収力であることを加味しておかなければならないことになります。

更に、仕事の能力にも、それぞればらつきがあるのと同様にこの２つのことに順応していく力もまた、個人ごとに大きくばらつきがあるものです。ですから順応に時間がかかる人はそうでない人の倍以上の期間を要することも十分に考えられます。

そして事実、派遣先の教える方法や担当する方、時間の取り方等々も大きく影響しています。忙しい現場では派遣社員に業務を教える暇がなく、単調な作業を細切れで依頼し、それ以外の時間はマミュアルを熟読するよう指示を出すだけのケースもよくあることです。派遣先の都合によるこのような状況下で1か月、2か月と経過しても仕事を覚える機会を逸してしまっていて、教えてもたっら僅かな業務と、細切れで依頼されてきた幾つかの業務しか修得していないことも充分にあり得ます。

派遣先の方から派遣社員の仕事の覚えが悪いと言われたとき、これらのことに対する派遣先の方の認識を推し量りながら、具体的な話を聞いていくことになります。このときに判断の指標となる今までの他の派遣社員のケースを引き合いに説明をされることがあります。例えば、今まで多くの派遣社員に同じ仕事を任せていたけれども、こんなに物覚えが悪い人はいなかった。遅くとも一か月を経過した頃には大体のことは一人でできる様になっていたなどです。このことは大きな指標になりますが、人間関係や教え方、その時々の会社の繁忙度合など多くのことが前提条件として違っていることも関係していますから決定づけるものではありません。どんなに仕事ができても直ぐに辞めてしまえば会社の戦力とはなりませんから吸収力や能力だけで判断するのではなく、派遣社員といえども人材への投資は、その成長期間も含めた投資であるとの理解をお願いし長期的、安定的に働いてもらえそうか、出退勤は良好か、素直でチームワークはどうか、コミュニケーション取れているかなどを総合的に判断して欲しいわけです。但し、あまりにも長期にわたって不慣れを主張することは派遣会社の責任として無責任な対応となりますから注意する必要があります。これらのことを派遣先の担当者と面談をして漏れなく伝えることで、派遣先、派遣社員、派遣元が、それぞれベターな方向性を見出すことが大切です。