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派遣社員との労働契約①
契約の原則8つの条文
業務内容の確認が終わり派遣社員の意思確認、派遣先の受入れ態勢ともに状態が整ったら、いよいよ派遣先と、労働者派遣契約を締結し、派遣社員とは、雇用契約を締結することとなります。派遣社員との雇用契約締結に際し、原則となる法令をおさえていきます。
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労働契約法 第3条
労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。
これは一般に雇う会社の方が立場的に強いので、ここで敢えて社員になる人と対等な立場で合意又は条件変更しなさいと言っています。雇用主側に対するメッセージです。
2項
労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
これは、業務内容、責任、給料など総合的にみて極端にどこかの条件が悪いとか、他の従業員と比べて平等な内容となっているか、劣悪な項目は無いか?或いは一歩踏み込んだ解釈をすれば、成果を適正評価する仕組みを構築し実行力のある運用を行って下さいという事が含まれていると考える事も出来ます。
3項
労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
これは、いわゆるワークライフバランスなど、例えば長時間労働を放置しないとか、育児や介護をしている従業員へ必要な配慮をしなさいというものです。
4項
社員と会社は労働契約を遵守して、権利の行使、義務の履行は信義に添って誠実に行われること。
これは、当然と言えば当然ですが、そうではないケースが散見されるので、単なる注意喚起の意味だけではなく、実際に労使間の問題が生じた際に、この原則に違反している事を指摘し主張することでお互いの正当な権利・利益を守るための重要な規定です。
5項
労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。
労働契約には様々な権利が内包されていますので権利行使をすること自体は、問題ありません。但し、仮に今説明してきた第1項から4項までを無視して、強引に権利行使すれば、相手方が極端に不利益を被る場合もあり得ますので、一定の限度がありそれを逸脱すると権利の濫用として無効ですよということです。裁判の判例などでよく見る表現で個別の事案ごとに判断がされるものです。。
労働契約法 第4条
1項
使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。
理解してもらうだけでは足りず、「理解を深める」と表現されていることに注意が必要です。
2項
労働者及び使用者は、労働契約の内容(期間の定めのある労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面により確認するものとする。
労働者派遣法では就業条件の明示は書面もって行うことが義務とされています。労働基準法でも労働条件の明示は書面で行うことが義務とされています。出来る限り問題を生じさせない為の規定です。
労働契約法 第6条
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
これは、本来労働契約は口頭の合意で成立することを明確にしています。書面による明示義務は飽くまでも明示に関するもので、成立自体は口頭のみでも効力を発揮するといものです。ですからその場しのぎや場当たり的な、恣意的対応で口にした約束でも契約の効力が発生することがあります。
人材派遣では労働契約に際し営業担当者の知識・経験不足から、このような対応をしてしまい事でトラブルが発生し易く特に注意すべき点です。遣会社の営業担当として派遣社員の方と日常的に接触すると思いますが、その根底にはこの8つの条文の存在があり、それが守られている状態が基本となります。この8つの条文全てにおいて雇入れる会社側への注意喚起メッセージである点を十分に理解して派遣社員に方に対して責任のある誠実な対応をしていかなければなりません。
いかがでしょうか。わずかな違いの繰り返しと時間の経過により自然と結果が大きく違ってくるということは、細部の仕組みまでもが重要であることを理解しているか否かの違いです。それは企業価値を左右するとても重要なことです。頭でわかっていても実行に移せるかどうかが重要です。興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。