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派遣社員の解雇②
解雇権濫用法理
解雇権濫用法理
解雇権濫用法理とは客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇は、その権利を濫用したものとして無効とするという考え方です。解雇には前に説明した解雇制限が、かかっているものと別に過去の裁判判例の判断基準を法制化したもので現在では非常に大きな法律の原理となっているものがあります。それが解雇権濫用法理と言われるもので、労働契約法第16条に定められています。
労働契約法 第16条(解雇)
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」
としています。この「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当であると認められない場合」について説明します。
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「客観的に合理的な理由とされる例」
これらを判断する際には、
真実性 解雇の理由が事実として存在する。
客観性 その事実が、第3者からみても認識できる。
解雇基準該当性 解雇の根拠事実が就業規則に規定する解雇事由に該当している。
という3点を見ていくことになります。
これが一つでも欠けていては客観的合理的な理由を欠き解雇出来ないとされています。
「社会通念上相当である例」
解雇理由とされた非行・行動の程度と解雇という極めて重い処分とのバランスが取れているか。似た事例の処分と今回の処分はバランスが取れているか。つまり諸事情を考慮し総合的に判断した結果、十分な妥当性が必要であると言っています。
整理解雇の要件
次に経営不振による人員削減・部門の廃止など、経営上の必要性を理由に解雇を行う整理解雇が、合理的理由に該当するためには、数々の裁判例を通じて、有効となるための要件として、以下の4つの要件(整理解雇の4要件)が確立しています。
① 人員整理の必要性が存在すること
② 解雇を回避するための努力が尽くされていること
③ 被解雇者の選定が客観的合理的な基準によってなされたこと
④ 労働組合または労働者に対して事前に説明し、納得を得るよう誠実に協議を行ったこと
以上のことから解雇が正当と認められるための要件とは
ということになります。
派遣社員は派遣先で就業しているため、派遣先事業所内の秩序を維持し規律を守ることは必要な事ですから派遣先の就業規則にも従うことは当然と言えます。
一方、派遣元がやるべきことをやっていないときは、派遣社員の素行だけが問題になるのではなく派遣元の対応にも問題ありとされてしまいます。派遣社員の労務管理業務を疎かにし細かいことは全て放置してしまっていた場合などです。問題の発見が遅れたり、派遣先との必要な連携が取れていない状態で仮に解雇問題に発展してしまった場合、派遣先から派遣元雇用主として一連の対応落ち度を指摘され、苦情が来ることになります。そうなると、解雇の理由は派遣元の管理不行届きも一因とされ、その後の派遣先、派遣社員への対応に支障をきたします。派遣会社が本来やるべき程度のフォローを行っていれば、突然のトラブルにも十分対応が可能です。解雇問題についても日頃からの派遣先、派遣社員とのコミュニケーションが重要です。
いかがでしょうか。わずかな違いの繰り返しと時間の経過により自然と結果が大きく違ってくるということは、細部の仕組みまでもが重要であることを理解しているか否かの違いです。それは企業価値を左右するとても重要なことです。頭でわかっていても実行に移せるかどうかが重要です。興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問合せ・ご相談ください。